風船 - Wikipedia
風船(ふうせん、balloon(バルーン))とは、ゴムや紙、ビニールなどで作られた袋の中に気体を入れて膨らませて使われる玩具である。
基本的には、ゴムなどの薄い膜でできた袋の中に気体を入れて膨らました後、その口を縛るなどして閉鎖し使用する玩具である。気体が水素やヘリウムといった浮揚性のあるガスの場合には、さらに持ち手となる糸やリボンを装着することがある。
風船は玩具のほか、販促(PR)、ギフトやイベントなどのバルーンデコレーション・風船飛ばし(バルーンリリース)、スポーツ応援、大道芸を含むバルーンアート、手品、科学実験イベント、風船バレー・風船割りなどのレクリエーションスポーツや遊戯施設、食品包装、医療分野などに使われているが、もっとも用途が広いのはゴム製の風船である。
また、風船の同義語として用いられる「気球(ききゅう)」という名称は、気象観測用ゴム気球やアドバルーンと呼ばれる気球広告、乗用の熱気球など、より実用的な用途のものに対し用いられることが多い。
なお、日本の大正・昭和期の文学作品に登場する「風船玉」という言葉は現在のゴム風船のことである。
[編集] 風船の種類
現在風船を示す場合、ゴム風船かマイラーバルーンを示す場合が多い。
[編集] ゴム風船
ゴム風船とは、天然ゴム(ラテックス[1])を原料に作られた伸縮性の大きい風船の総称で、バルーン業界では ラテックス風船・ラテックスバルーン(Latex balloon)・ラバーバルーン(Rubber balloon)と呼ばれることが多い。
[編集] サイズ
ゴム風船のサイズは日本国内に出回るバルーンアート用をはじめとするゴム風船の多くが海外のバルーンメーカーのブランド製品が多用され、また多くが製造拠点も海外にあることから、吹後の横幅をインチ(1インチ=約2.54cm)単位。また大型の風船はフィート(1フィート=約30cm)単位でヤード・ポンド法表記されることが多い。また一部の日本製の風船は「号」「寸」「丸」や「二寸六分」「千丸」など独自のサイズ規格で表記される。なお小口で市販されるパーティーグッズ用の商品にはcmなどメートル法単位でも表記されるが、玩具用途の商品ではサイズ表記も無いことも少なくない。
市場には9インチ(約23cm)から11インチ(約28cm)程度の大きさの風船が最も出回っている。商品に明記されるサイズはあくまでも目安である。それは市場に出回る数多くのゴム風船は現在では風船型の浸漬[2]をはじめ多くの工程を機械化したオートメーションで製造されるが、各メーカーごとに風船の製造法が異なることや、着色や加硫に必要な加熱の時間を短縮させるために入れられるゴム添加剤[3]の配合が違うため、ゴム膜の厚みや伸張率、膨らましやすさなどゴム風船の特性に少なからず影響を与え、さらに製品には経年変化による劣化の影響もあるからである。
また市場に出回ることは多くないが、ハンドメイド(手作り)で製造されるゴム風船もあり、同じサイズで納品される商品でもゴムの厚みなどにばらつきが出やすいが、一方でゴム風船の特性の微調整が可能で、幼児でも膨らますことのできる玩具の毛笛用風船は職人の手作りにより製造されている。(毛笛の笛は市販の強度のある風船に付け替えてもうまく音が出ない。)
ゴム風船は通常は規定サイズを超えて膨らませ続けると口元の方に向かって膨らみ洋梨状となり、ついには大きな音を出して破裂する。ゴム膜がはじけ飛ぶ運動は瞬間的であるため、高速度撮影(ハイスピードカメラ)の恰好の素材であり、また風船の破裂音はピストルの号砲音と共に単発音源にも使われることがある[4]。バルーンアートを行う人は割ることも仕事であり破裂音になれている人が多いが、健常な聴覚を持つ一般人の多くは花火やピストルの音などと同様に近くで風船の割れる音に反応し、中には精神的に不快に感じたり、風船嫌いや風船恐怖症のように風船の割れる音に恐怖感を催す人もいる[5]。
[編集] 色
ゴム風船の色についてはバルーンアート用途の商品において特に種類が多く、その質感から次のように大別されるがメーカーにより呼称も違うことがある。 またメーカーにより独自のバリエーションのカラーシリーズ[6]が設定されていることもあり、同じメーカーの同じ色の銘柄であってもカラーシリーズの違いにより色感が違うことも多い。
- スタンダード・カラー - ベーシック・カラーともいわれる単純色。膨らましても光の透過性が低い。
- ジュエル・カラー - クリスタル・カラーともいわれる。膨らませると光の透過性が高くなる。またダイアモンドクリアのように透明に近いものもある。
- パール・カラー - 真珠の表面のような細かな粒状感がある。高級感が出ることから、結婚式の装飾でよく用いられる。金属質の光沢の強いものはメタリック・カラーともいわれる。
ほかにも、マーブル(大理石模様)、アガット(メノウ模様)や後述のパンチバルーン(羽衣風船)のように複数の色の液体が絡み合ったようなデザインの商品もあり、こちらは風船の型を複数のゴム液に浸漬して製造される。またヨーヨー風船に描かれた不規則な曲線模様は、半製品の付いた風船型を着色したゴム液に回転させながら垂らし落とすことにより製造される[7]。
なお複数の色の商品を詰め合わせた商品はアソート(アソートメント)と呼ばれる。
そのほかオリジナルの動物の漫画の書かれたマンガ風船をはじめ、規則的に水玉や星など配置したものや地球儀などバルーンアートや装飾に多用されやすい柄、誕生日、季節行事、周年行事、結婚式などで汎用的に使いやすいデザインを印刷した出来合いの印刷風船はプリントバルーンという。
プロ野球球団の名入りジェット風船やアニメなどの著名なキャラクターなどが印刷されたものは各団体や玩具メーカーのグッズとして市販されている。(企業名などのオリジナル印刷の風船については名入れ風船についての項を参照。)
[編集] 耐久性
ゴム風船は膨らまし、しぼませることを数度繰り返すとゴム膜が伸びやすくなり、新品の風船より大きく膨らませることができるが、耐久性は低下する。また膨らませたゴム風船を屋外の直射日光や排気ガスなど煤煙や塵埃の多い場所やエアコンなど通風の多い場所に放置すると、紫外線や酸化のほか塵埃の付着などでゴム膜の劣化が早まり、膜のつやや光沢、透明感を失い色が白みがかり破裂することがある。そのほか直射日光や強い照明による熱で風船の中のガスが膨張し破裂を引き起こすこともある。
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